2022

 

金木犀の香りの季節

一年に一度の

 

私はいつ咲くのか覚えていないけれど

一週したことに気付く、この一周は長く感じました

 

歳を重ねるごとに、人生は短いということと、時間は案外ちゃんと長いということを感じている

 

手を抜きにくいけれど抜けられてしまう

丁度いい長さかもしれないな

 

父の姿が見えなくなったことについては、訳がわからないまま

 

何を見ても聞いても父ばかり、夢の中まで父ばかり

姿が見えなくなったら、これだからおかしい

心の中に、か

 

父のような人を探してしまうけれど

本当にいないんじゃないかな、知らない

いたとしても、私の父にはなってくれない

 

全ての奇跡だとか運命だとか、なんで生まれてなんで死んでゆくのか、とか、神秘的過ぎて、すご過ぎて、

 

毎日つまらなく、やる気が出ずに、死のうとしたり、やりたくないことに追われる、

そんなこと必要がないんだって、生きる気力が湧いてくる

 

父は亡くなる数日前も生きる気力に溢れていたから、聞けなかったけれど、

死ぬの?死んだらどこにいくの?教えてねって。

 

やっぱり死にたくはないものなのか、

死にたくないって喚かないでいられるものなのか

 

身体から魂が抜けてゆくところを初めて間近で見ることができた

なんとも不思議で静かで穏やかだった

やりきったはぁー、だった

 

抜け殻は笑っていた

おかしかった

寂しくて悲しくて辛いのに

 

不思議なお父さんだった

 

野生的で、頭が良くて、いつも最先端過ぎて異端者で、頑固だけど超ポジティブで、怪我の多い少年、ガサツだけど繊細で感動屋、とびきりの笑顔、魂を歌うことに生きた、父

 

愛しかないね

 

金木犀の香りでさえ、父のことを思い出すのよ

 

何故か

父め